自分定規

「答えは己の中にあり」

「ザ・ノンフィクション」が地味に好きです

お世話になります、ウツシロです。

 

「ザ・ノンフィクション」という番組があることをご存じだろうか?

日曜日の午後2時から2時55分に放送しているフジテレビの番組で清々しいくらいに気持ちを重くしてくれる素敵な番組だ。

私はこの番組がわりと好きでタイミングが合えば観るようにしている。

3月6日放送の『ボクらの丁稚物語2022~涙の迷い道と別れ道~』後編を観た。

残念ながら前編は観れなかったが、後編だけでも思う所があったので感想を書こうと思う。先に言っておくがあくまでも番組からの情報しかない上での感想である。

 

内容に関しては詳しく書くつもりはないので気になる方はこちらをどうぞ。

ザ・ノンフィクション 2022年3月6日(日)放送 ボクらの丁稚物語2022 ~涙の迷い道と別れ道~ 後編 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

 

簡単に説明すると家具職人を目指す若者がある木工会社に丁稚奉公して数年の修行の末一端の職人になり巣立つまでのドキュメントだ。

この番組で感じたことは二つある。

 

一つは職人を辞めることをもったいないという大人達に対する違和感だ。

5年近く見習いをしている22歳の青年がいたのだが、もう少しという所で職人という肩書を手に入れる前にリタイアしてしまった。番組的にはもったいない、辞める青年が理解できないという雰囲気になっていた。それに対し私は何がもったいないのだろうと思った。

まずこの会社の丁稚に対する抑圧はきつい。酒、タバコ、恋愛、携帯は禁止、髪型は坊主が基本だ。好きで入社しているのだからこのルールに従える人も当然いるだろう。しかしこの生活を5年間続けるにはかなりの抑圧耐性が必要だと思う。

これに耐えうる人間の方が特殊な能力の持ち主であると感じてしまった。

この辞める青年には幼少期に発覚した糖尿病という持病がありインスリンを打ちながら仕事をしていた。健康体の人より自分の人生を考える時間は多いように思う。

 

そして極めつけは目標にしていた「技能五輪」と言われる技術を競い合う大会にこの22歳の青年は選考会で選ばれ出場資格を手にしていたにも関わらず、人間性を理由に会社に出場を辞退させられたのだ。

確かに会社のルールを破る一面もあったようだがそれにしても日々の修行の集大成でもある大会を辞退させられるとはやり過ぎだと思った。例年の出場者よりも実力の劣るその青年を大会に出しては会社の名前に傷がつくという理由もあったようだ。彼がもしこの大会に出ていたら自分の実力に気付き更に成長していたかも知れないのに会社のメンツの為に出さなかったのだ。

このような仕打ちをされても会社に残り修行を続けることは頑張り屋さんの美談なのかも知れないが、私からしたらドМ以外の何物でもない。人それぞれ我慢には限度がある。それでも頑張るには具体的な目標が必要だ。彼の直近の目標は技能五輪でありその為に頑張っていたように見えた。その目標を潰しておきながら辞める決断をした時のもったいない、ここまで来て理解できないといった雰囲気に私は呆れてしまったのだ。

 

はっきり言ってこの令和の時代に携帯を持たない、恋愛禁止、丸坊主という条件を飲んで入社する若者自体が珍しいのに当たり前のように扱っていることに違和感を覚えたのだ。

例え5年近くの修行が無になったとしてもそこまでの技術は身についている。その会社で職人になれなかったとしても他の会社や独学でも職人になる術はあるだろう。

 

 

もう一つは価値観の押し付けだ。

この技能五輪への出場辞退には先輩達の意見も反映されていた。先輩の言うことが聞けない、技能五輪への意識が足りない、親への感謝が足りないなどの意見が会議の場で言われそれが辞退への流れを作ったように感じた。

会議に出席していた先輩達はこの丁稚を見事に耐え抜いた生え抜きの猛者達だ。

当然この会社のモットーが頭から足の先まで巡っている。

もちろん言ってることは真っ当なことだと思うが、解釈には個人差が出るものだ。

そんな猛者達からすれば今の若者達がぬるく感じることもあるだろう。

しかし第三者の私からしたらこの環境を耐え抜ける猛者達の価値観もなかなかぶっ飛んでるぜってなもんだ。

この社内の空気感に染まれない者は去るしかなく、強烈な価値観の押し付けを感じてしまった。

 

結論

あるコミュニティでどんなに頑張ったとしても抑圧や価値観の押し付けによってどうしても馴染めずその場に居続けることが困難な場合もある。

物事をやり遂げるつもりで始める人もいれば、やってみたいから始まる人もいる。

自分には合わないことに気付きやり遂げることができない人間の方が多く、途中で脱落することは珍しいことではない。

無理や我慢を乗り越え涙を流してハッピーエンドを迎えられる人も一握りである。

そしてそれができない人間をダメ人間扱いするのもやめるべきだ。そんな抑圧を受けなくても人は成長できるというモデルケースがそろそろ必要だろう。

誰かが仕事を辞める際にもったいないと思うことがあるがそう思っているのは他人だけだ。本人が思っていればまだ続けている。見切りがついたから辞めるだけなのだ。

いつ何時辞めようがそこまでの経験を糧にもっと居心地の良い場所を見つけることが大事だと思う日曜日の午後であった。

 

 

 

サンサーラ

サンサーラ

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この番組は出演者のチョイスと言い、色んな意味でツッコミ所満載な感じがたまらないよね。

 

 

 

いゃ〜今回はよく書いたわ、今日はこの辺で。