男も女もつらいよね
お世話になります、ウツシロです。
私は数年前に『男はつらいよ』を偶然見て好きになった。
映画『男はつらいよ』シリーズは全50作あり、主役の寅さんこと渥美清氏は48作に出演している。48作が遺作になった為49、50作は回想のような形の出演になっている。
はっきりいってこれだけの作品があると初めて見たタイトルも何作観たかも憶えていない。たぶん半分くらいは観ている。(好きじゃないんかい!)
『男はつらいよ』とはテキ屋稼業を生業にしている「フーテンの寅」こと車寅次郎が故郷の柴又に帰ってきては何かと大騒動を巻き起こす人情喜劇で、旅先で出会う「マドンナ」に惚れつつも失恋するか身を引いた結果48作成就しないというめちゃめちゃ出会いがあるのに1度も上手くいかないおじさんの物語だ。
観始めた頃は何故身を引くんだと疑問に思っていたが観続けていくと身を引いてこそ寅さんという諦めと開き直りの入り混じった感情で観れるようになっていた。
なんとなくだが寅さんの恋愛に対する自信の無さや覚悟の足りなさが見え隠れしていて毎回はがゆい思いをするのも定番なのである。
私が寅さんに魅力を感じたのは果てしない人の良さだ。
知り合って間もない人間の為に日本全国飛び回ったり、実家に連れ帰って食事を振舞ったり今の世の中ではそこまでやるだろうかと思うくらいの義理人情の厚さなのだ。
昔はこんな人情味のある人が沢山いたのかなぁ、なんか良いなぁと心が温かくなる。
寅さんの実家である団子屋「とらや」のおじちゃん、おばちゃんや裏のタコ社長との人間模様も面白い。
そして妹「さくら」との関係性がこの映画の軸になっている。異母兄妹なのだが、寅さんを思う気持ちは並では無い。ダメな兄貴と良く出来た妹が私自身とも少し被り共感したのかも知れない。さくらのどんな時も兄を影で支える感じとダメな兄なのだが愛され力の凄い寅さんという素晴らしい兄妹関係を観て家族の在り方を考えさせられた。
寅さんのセリフも魅力的だ。難しい言葉も言い回しもいらないスッと頭に入ってくるワードが沢山ある。万人が共感するようなセリフをサラッと言うところがカッコ良いのだ。寅さんのセリフをいくつか挙げるので知っている人は寅さんの声で脳内再生お願いします。
姉ちゃんは何のために勉強してるんだい?考えてみたこたぁねえかい?己を知るためよ!
継続と惰性の違いってもんは、好きと嫌いの違いなんだ。
天国も地獄もあの世じゃなくてこの世にあるのさ。だから天使も悪魔もこの世にいるってことさ。
人を信じねぇってことは自分を信じねぇってことにつながるのさ。
不安になったらさ、大丈夫、大丈夫、大丈夫って三度唱えてみるんだよ。
失恋は男の勲章よ。
失敗して落ち込んだら二度と同じ失敗をしないで済むだろ?
だから「もう同じ失敗はしないから良かった」って喜べばいいんだ。
用心しなくちゃいけないのは成功した時だ。
調子にのると人間ロクな事がないからな。
本来おすすめタイトルを挙げるべきなのだがストーリーの構成は似ているのでどれを観てもらっても楽しめると思う。あえて挙げるなら初期の作品で若い寅さんを楽しんでもらいたい。
そしてすべて観なくても一通り観た後で第50作お帰り寅さんを観てもらいたいものだ。
今日はこの辺で。